働く人間の求めているものが違う美容室
5月29日のエントリー「自動化・機械化の代替が難しいサービス業の要とは」で書いた一部をそのまま引用します。
美容の仕事は、どこまでいっても人がやる仕事ではないかと思います。例えば、カット。髪をカットする行為を自動化できたとしても人のコストがそれを超えることはないでしょうから、永遠に人がカットした方がコストは安いはずです。
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ところが、美容業界に横たわる「技術の安売りという流行」を象徴する大型低料金チェーン店の台頭は、人そのものを機械化しているように私には思えてならないのです(以上引用)。
人がやる仕事の機械化・自動化は、テクノロジーの進歩に伴い今後も進んでいくことでしょう。
美容の仕事のように、人でなければ無理な仕事と思われていたことでもコストを無視すれば機械化・自動化が可能になってくるのだと思います。
美容の仕事自体も機械化は可能だとは思いますが、コストに見合っていないわけで、今のところ人が美容の仕事をするしかありません。
人がやる前提で考えた場合、美容の仕事は機械がやるような量産体系はとれないので、自ずと仕事自体の単価は上がらなければならないはずが現実にはそうはなっていない。
美容業界における「技術の安売りという流行」を象徴する大型低料金チェーン店ですが、その代表例ともいえるカット専門店。
ということで以下の記事。
『QBハウスがコロナ禍でも「客を離さない理由」 秘密はビジネスモデルにあり』
皆さまはQBハウスに対し、どんなイメージをお持ちですか? おそらく「早い・安い」が先行して想起されるのではないでしょうか。
ご想像の通り、キュービーネットが運営するQBハウスは、「10分で1000円カット」を標ぼうし全国で名をはせています。早い、安いながらも元野田佳彦首相も愛用するなどカットクオリティも保証されています。
QBハウスは現在、その早さと安さをかてにして、日本一店舗数が多い理容室(海外含め580店舗超)となっております。
しかし、なぜQBハウスはここまで拡大できたのでしょうか。早いから? 安いから? 確かにそうかもしれません。しかしそれだけでは拡大できないのがビジネスの世界。今回は早い安いに裏打ちされたQBハウスの強みについて紹介します。(後略)
以上引用。
「低料金のお店が美容業界全体の価値を下げている」と批判する方もいるようですが、利用する側から考えると、同じモノ・サービスであれば「安い」方がいいに決まっています。
今回の記事を読んでみて改めて、美容業界に横たわる「技術の安売りという流行」とQBハウスをはじめとするそれを実践するところとそうでない理美容室と何が違うかを考えてみました。
結論からいうと、そこで働く理美容師の求めているモノ・コトが違うのだろうなと思います。
低料金に走らない理美容室で働く理美容師は、美容の技術に拘るというよりもそれがシンプルに好きなんだろうなと思います。
一人一人に合わせたスタイルや要望に応えていくことが好きなんでしょう。もちろんお客とのコミュニケーションを含めて。
一方は、もちろん仕事も好きでしょう。が、それ以上に働く環境というかお金の面を重視するのかなと。
稼げるかどうかではなくて労働の対価としてお金がキッチリもらえるということです。お金のためと割り切れるというか。
的外れな分析かもしれませんが、同じ仕事をしても何を考えて仕事をするかは人それぞれですから。機械のような(単純作業)仕事を好んでする人間もいるわけです。
どちらを選ぶがどうこうの話ではなく、その人間の求めているものの話です。
低料金のお店では、会社経営にスポットが当たり、所謂美容室では、美容技術・サービスにスポットが当たっているように思います。
それを象徴するのが、QBハウス創業者である小西國さんが、1000円カットを思いついたきっかけ。
『行きつけのホテル内の理容室で髪を切ってもらっていたときに、タオルを取りに行ったり、ホウキを取りに行ったりと、ムダ時間が多いと感じた。このムダな時間のコストもわたしが支払っており、これを改善できないかと考えた』
これってカットをしてオシャレをする人ではなく、身だしなみのカットとしてのものであり、カット自体にお金を払っているのではなく、時間に対してお金を払っているのでしょう。
男女問わず、時間に対する価値観はそれぞれですから、身だしなみ程度のカットであれば、時間も短く、料金も安いのであれば、QBハウスのようなところを選ぶのでしょう。
成毛眞「2040年の未来予測」
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