全美連の美容所賠償責任補償制度・事故分析で感じたこと
7月11日のエントリー「クレーム処理と納得感」で取り上げましたが、全美連の美容所賠償責任補償制度・事故分析(対象期間:2019年9月1日~2020年8月31日)によると、期間中1年間の美容室での補償をともなう事故件数は「413件」で前年比4%の微増となりました。
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事故で多いのは、身体賠償、財物賠償とも“ヘアカラー”で、身体賠償事故数の38%、財物賠償事故数の64%を占める。
身体賠償事故(件数)
ヘアカラーによる皮膚炎・かぶれ等 57件
財物賠償事故(件数)
ヘアカラーによる衣服汚損 167件
ヘアカラーに関する事故の総数は224件で、全体の半数以上となります。
もちろん上記は、【美容所賠償責任補償制度】に加盟している美容室での話です。
現状で美容室の店舗数が25万軒以上といわれており、その中でどれだけの店舗が美容組合、更には美容所賠償責任補償制度に加盟しているかは知る由もないのですが、その店舗でのヘアカラーの事故件数が224件は、私にとっては少なく感じます(というか立派では?)。
事故を完全にゼロにすることは極めて困難というか不可能に近いと思います。だからこその美容所賠償責任補償制度でしょうからね。
とはいえ、ゼロにすることを否定するつもりはありませんし、ゼロに向けて取り組むことは非常に大事なことです。
しかし、そうであっても起こることは起こるので仕方ありません。
何の話をしたいかというと、これは、どこの業界でもある話だと思いますが、同じ環境にいると、技術(ここではヘアカラー)をとことん追求してしまいます。
技術の質を向上させることは当然です。ですが、ありもしないリスクゼロに拘るとそれは自己満足にもなりかねない。
美容室を利用してヘアカラーをする人に常に何らかのトラブルが発生しているならば、そこは改善しなければなりません。
ですが、常に発生するトラブルがたまに発生するトラブルとなった場合、それでも技術の質の追求”だけ”に拘るのは、先述したように自己満足になりかねない。
これからの日本の人口構造を考えると、ヘアカラーに関するトラブルが増加する可能性を否定することは出来ません。
白髪染めを必要とする女性の数が年々増加するわけですし、ヘアカラーをする頻度も高くなる。染めれば染めるほど、アレルギー反応のリスクは高まるわけですから、そこに対処するのは当然です。
ですが、そこだけに囚われるのも何か違うような気もします。
何故ならば、事故件数からすると割と対処しているようにも感じるからです。
ところが、周りの美容室では今もこの瞬間に「キレイに染まる」「アレルギーの心配がない」「褪色しにくい」「染めるほどにツヤが出る」等々の売り文句として、技術の質の追求の手を止めようとはしません。
これでけの美容室の軒数だと、お客からの評価よりも同業者からの評価の方が気になるはずで、しかもインスタを眺めると、ヘアカラーの仕上がりが投稿されていたりして、お客よりも気になるのはむしろ美容師の方ではないかと思います。
しかもそれを煽るように美容ディーラーの営業マンがここぞとばかりに、新商品をアプローチしてくる。
もはや技術でしか物事を見えなくなっていく。
そうなると本来の消費者のニーズとかけ離れた、美容師という技術者のニーズで商品を提供することとなってしまうわけです。
同業者の動向に気を配るのも大切ですが、美容室に来店している、または来店してもらいたい方々が何を美容に求めているかを常に意識する必要があるのだと思います(自己満足にならないためにも)。
事故件数がゼロになることは素晴らしいことですが、それでも最近盛んに叫ばれているヘアカラーのアレルギー問題を思うと、割と抑え込めているのかなとも思います。楽観的過ぎますかね?
技術の質の向上は、当然です。但し、それを利用する側が求める部分での質の向上でなければ意味がないのではと思う次第です。
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