呪縛で片づけられる問題ではないはず
マイケル・サンデル「実力も運のうち 能力主義は正義か?」を読んで初めて知る事となった「絶望死」というもの。この100年で初めて、アメリカ人の平均寿命が連続で縮み、その背景のひとつに、自殺、薬物の過剰摂取、アルコール性肝臓疾患などによる死亡の蔓延があるという。
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結果、死亡率が増加。そして、そのほとんどが大学の学位を持たない人たちだった・・・と。これを読んだ時には、ただただ驚き、言葉になりませんでした。
ちなみに「絶望死」は、2015年に「consumption, poverty, and welfare」の分析でノーベル経済学賞を受賞したアン・ケイスとアンガス・ディートンが提唱した現象であります。
前著によれば、ケンタッキー州では、1990年以降、大卒白人の死亡率がほとんど変わらないにもかかわらず、非大卒白人のそれは、1995年から2015年の20年間に10万人あたり37人から137人へと約4倍に増加。
アメリカでは、非大卒の場合、仕事につける割合が低く、運よく仕事につけても低賃金。ディートンらは、彼らの人生の軌跡に注目し、暮らしがどのように転落したか、コミュニティや価値観の喪失はあったか、文化の機能不全はあったか、といったことについて詳細に調べ、そこでわかったのが、賃金の低さ、すなわち貧困だけが絶望死の原因ではないという事実だった。
学位を持つ人と持たない人の間には、賃金のみならず、仕事、家庭、コミュニティなど「生活世界」を分断する壁がいくつも存在し、かつて非大卒の白人たちの生活世界に当たり前にあったものがなくなり、仕事の誇りや人生の意義を失い、生きる光が奪われていた。
そんな痛みのある人生から逃れるために、薬物やアルコールにおぼれ、死に急ぐ人が量産されていた・・・
以上は、アメリカで現実に起きていることで、ならば日本は、ということで。
『アンコンシャス・バイアスの実態 「男らしさ」に苦悩の男性増加』
価値観の多様化や女性の社会進出が進む中、伝統的な「男らしさ」の呪縛から逃れられず、苦しむ男性が増えている。誰にも明かせずに孤立や孤独を深めるだけでなく、鬱積した不満や苦悩が何かの拍子に爆発すれば、暴力や家庭崩壊に発展するリスクもある。専門家からは、男性専用の相談体制の拡充など社会的な環境整備を求める声も上がる。(後略)
以上引用。
いやいや、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見や思い込み)で片づけて済むような問題なのでしょうか?
もちろん、そうでないことなど誰もが分かっているはずで、絶望死もそうですが、そんな事実を知ると、自分はホントラッキーだなぁとしか思えず、とはいえ、他人を構っていられるほどの余裕もないのも事実でありまして・・・
ホント、どうしたもんですかねぇ?
マイケル・サンデル「実力も運のうち 能力主義は正義か?」
平野啓一郎「私とは何か―「個人」から「分人」へ」
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