言葉のイメージに騙されない
医療・健康をテーマにしたテレビ番組を見ていると、「最近の研究
では」「先進医療」「最先端医療」という言葉が目にも耳にも飛び
込んできますよね。研究の中身よりも、その言葉の持つ印象が際立
って、“スゴイ”ものなんだろうと勝手にイメージを聞くこちら側
がつくってしまいます。
医療・健康の分野で「エビデンス」という言葉をよく耳にします。
「科学的に根拠がある」という意味だそうです。使い方としては、
エビデンスが“ある・ない”。更には、エビデンスが“強い・弱い”
という使い方もあるそうです。
医療・健康に関する情報を、エビデンス云々で考えて聞く人は、殆
どいないのではないでしょうか?特に意識しないと呼べるものが、
権威や肩書(大学教授等)のある方からの発言は、全てが正しいも
のだと無意識で思い込んでいるのではないでしょうか。
実際は、そんなことは殆どがないらしいのです。よくテレビの通販
番組で「あくまでも個人の感想です」という字幕の断りがでますが、
医師の発言はそれに等しいレベルで、なんのエビデンスもないとい
うことなのです。恥ずかしながら、医師は医師でも専門医の存在を
知ったのも、つい最近の事です。
次に、「先端・最新」という言葉も、なんとも悩ましいものです。
従来のものよりは、“いいものだ”と勝手に想像してしまう。
「標準治療」という言葉をご存知でしょうか?例えば、癌治療であ
れば、手術などの外科療法、ホルモン療法や抗がん剤などの薬物療
法、放射線療法などがあります。
では、この標準治療がどのようにして出来上がってきたのか?
治療として、その効果や副作用などを調べる臨床試験で評価され、
世界中の研究の成果を集めて、有効性と安全性を確認し、現時点で
最善の治療として合意したものが「標準治療」です。
国立がん研究センター がん情報サービスの用語集の中で、「標準
治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治
療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われるこ
とが推奨される治療をいいます。」と紹介されています。
標準治療というと「並みの治療」でしかないのではないかと誤解し
てしまいますが、標準治療は「現時点で、最も効果が期待でき、安
全性も確認された、最善の治療」ということになります。
必ずしも“最新・最先端・先進”とつくものが、最高のものとは限
らないということですね。しっかりと、エビデンスがとれているの
が「標準治療」ということ。
もちろんどちらを選ぶかは人それぞれです。ですが、その言葉の持
つ意味だけに騙されずに、判断をしたいものです。
朽木誠一郎さんの「健康を食い物にするメディアたち」では、以上
のようなことが事細かく書かれています。特にエビデンスといって
もレベルがあるということを知れたのは驚きでした。言葉のイメー
ジだけに踊らされないようにしましょう。
「いやいや、もうそんなことは知ってるよ」という人が一番騙され
ているのかもですね。
健康と医療を知る第一歩として、以下の書籍はかなりお勧めです。
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