お客がお金を出す理由


美容室を営業で回っていると、美容室は自分のお店の技術(商品)
を売るとき「自分たちが何を提供できるか」だけを考えてしまうこ
とが多い。しかし、お客は自分がほしいものでなければお金を出さ
ないもの。ということは売る側は、自分たちが提供でき、さらにお
客がほしいものを提供できなければならないことになります。


しかし、これを満たすだけでは、お客はお金をだしません。

では、どのようにすればお客はお金をだしてくれるのか?

そのヒントというか答えが、永井孝尚さん「これ、いったいどうや
ったら売れるんですか?」に書かれてあります。

永井孝尚さん「これ、いったいどうやったら売れるんですか?」

これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング (SB新書)




以下引用(ちょっと長いです)

『たとえば「時間を正確に知りたい」お客さんが、腕時計ではなく
 手近にあるスマホですますように、他にいいものがあればお客さ
 んはそちらを選ぶからだ。

 他では手に入らないものを提供してはじめて、お客さんがお金を
 出す理由になる。ジョギング専用ウォッチも登山専用ウォッチも、
 他の腕時計やスマホにはできない機能があったから、お客さんは
 お金を出したのだ。

 つまり、お客さんは、「自分がほしいと望み、かつ、その商品し
 かない」という状況になってはじめて本気でお金を出そうと考え
 る


 これがバリュープロポジションだ。

 バリュープロポジションとは、お客さんに提供する価値を決めた
 もの
だ。売る側はバリュープロポジションを考え抜くことで、お
 客さんがお金を出す理由を創り出す必要がある。

 バリュープロポジションを考えるには、まずターゲットのお客さ
 んを絞り込んで、そのお客さんがお金を出す理由を考え抜く必要
 がある


 たとえばジョギング専用ウォッチは、「ジョギングで体力を強化
 したい」というお客に絞り込み、「時計で体力強化が図れる」と
 いう価値を提供することで、お金を出す理由をつくる。』

以上引用。


まあ、付加価値をいかに付けるかということでしょうか。

美容室に当てはめて考えると、他のお店がやっていないもので、お
客に独自に提供できるとなると「技術」になるわけです。

「技術」によって、差別化・付加価値化を模索するのですが、それ
こそ、どこでも考えるようなことになるわけです。

しかも現在の美容業界は、禁断の果実である「安売り・値下げ」を
やってしまっている


「安売り・値下げ」により、「バリュープロポジション」を成立さ
せようとしても、無理が生じるわけです。

技術でも価格でもなく、それ以外で差別化・付加価値化を考えると
いうのが、私の答えです。

まあ、ごくごく当たり前のことなんですが。

そこで、私は、美容室の技術に対して「見出し(タグ)」をつけて
みることが大事
なのではと考えました。

分かりやすく言うと、技術にキャッチフレーズやキャッチコピーを
つけるというものです。

しかも、三つです。

美容室に「あなたのお店のヘアカラーのウリを三つ挙げてみて下さ
」と勉強会の中で言っておりました。

この三つが、曲者なんですね。

中々、三つは出てこないもんです。

それどころか、一つも出てこない場合もある。

そのような状態で、他店と差別化をできるはずがありません。

美容室にあるのは、「いい技術」をやればお客が勝手に納得してく
れると思い込みだけ


今回の「バリュープロポジション」もあくまで、お店の売り上げを
上げる一つの手段にすぎません。

いくら、マーケティング用語であるバリュープロポジションを知っ
ているからといって、売り上げが上がるものではありません。

あくまでも、“使ってこそ”なのです。

皆さんが、ヘアカラーをしてもらいに美容室に来店して、美容師か
ら、ヘアカラーについて何か説明があるでしょうか?

単純に色を決めて塗るだけではないでしょうか?

それだけならば、ホームカラーあるいはヘアカラー専門店で事足り
ます。

美容室にわざわざ行く理由もない、即ち、お金を出す理由がないこ
とになるわけです。



さて、今回紹介した、バリュープロポジションは、永井孝尚さん
「なんで、その価格で売れちゃうの?」でも取り上げられています。

 ・ダイソンのヘアドライヤー
 ・カレー専用スプーン「カレー賢人」
 ・IBERICO-YA「生ハムセラー」


以上三つの商品がどのようにしてバリュープロポジションを満たし
ているかが書かれています。参考までに。

永井孝尚さん「なんで、その価格で売れちゃうの?」

なんで、その価格で売れちゃうの? 行動経済学でわかる「値づけの科学」 (PHP新書)



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