小さな会社を買えないならば
ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授とアンドリ
ュー・スコット教授の共著「ライフ・シフト100年時代の人生戦略」
には、人生100年時代を生きるための方法として、現役時代を延ば
すしかない、と書かれています。
これからは、「教育→仕事→引退」という3つのライフステージの
うち、2番目の「仕事」のステージが長くなり、引退年齢が70~80
歳になるだろうということです。
しかし現実には、今、日本の殆どの企業がそんな年齢まで雇ってく
れません。
経団連の中西会長も、企業が今後「終身雇用」を続けていくのは難
しいと述べ、雇用システムを変えていく方向性を示したばかりです。
45歳をボーダーラインにして多くの企業で早期退職・希望退職者募
集をかなりの企業が行っています。
退職後再雇用制度を利用しても、会社で働けるのは65歳までです。
65歳から新たな就職先を探しても、よほど特殊な技能や資格を持た
ない限り、社員としての求人はほとんどないのが実情です。
最近、シニア可の年齢不問の仕事も増えているようですが、ほとん
どが時給のアルバイトです。会社勤めと同じようには稼げません。
ならば、サラリーマンは、老後に備えて何をしたらいいのか?
60代で定年退職になることがわかっていながら、老後資産が十分で
はない人はどうしたらいいのか?
もしあなたが、大企業や中堅企業で課長程度の中間管理職を経験し
た、あるいはこれからするのであれば、いい選択肢があります。
自分の経験と専門知識を生かせる中小企業を見つけ、個人でM&A
をして、経営を引き継ぐこと・・・つまり、「会社を買う」のです。
この「会社を買う」選択肢を勧めるのが、三戸政和さんの「サラリ
ーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」です。
世間では、起業を勧めていますが、「ゼロからイチにする」ことを
知らないサラリーマンに起業は、お勧めできないと三戸さんは言い
ます。
サラリーマンの中にも「新規事業を立ち上げたことがある」と言う
人がいるかもしれません。
しかしながら、その新事業はあくまでも会社があっての事であって、
ゼロからイチではないということです。
起業と会社を作ることを混同して考えてはいけません。
起業は、事業を自らの手で作ることです。
会社を作ることは、ネットで検索して手順を踏めば、誰にでも作れ
ます。
世間では、起業がどうも軽く見られているのかもしれません。
営業マンの私が思うに、今すでにあるモノやサービスを自らの手で
販売していくだけでも大変なことです。
ましてや、世の中にないサービスや商品を創造し、市場に浸透させ
ていくベンチャービジネスを軌道に乗せるのは、並大抵のことでは
ありません。
三戸さんは、起業について以下のように指摘しています。
『起業して自分で事業を作ることは、ゼロからイチを生み出し、よ
うやくイチができたものを10まで自分で育てていくことです。
それができる人は、本当に一握りです。天才であり、ある意味、
変人です。
でも、このことに気づていいる人はあまりいません。』
そうか・・・やっぱり、天才で変人なんですよね。私も薄々気づい
てはいました。
我社の社長も天才であり変人ですもんね。この三戸さんが言うこと
は、よくわかります。同感です。
しかも、ゼロからイチ、そして10まで育てる、更には、社員がいて、
その社員もちゃんと給料をもらって、いい暮らしをさせてもらって
いるわけで、冷静に考えると、自分の会社の社長ではありますが、
頭が下がります。感謝であります。
だから、サラリーマンが起業に夢を見るよりも、自分の経験と専門
知識を生かせる中小企業を見つけて、「会社を買う」ことが、変な
リスクを冒すよりもよっぽど賢いやり方だということです。
ということで、私も「会社でも買うか」と考えましたが、私が所属
するのは、大企業や中堅企業でもなく、買う対象の中小企業という
オチでした。
それはさておき、「会社を買う」という選択肢もあるのだと勉強に
なりました。
ならば私のような中小企業サラリーマンは、どうのようにしたらい
いのでしょうか?
24時間「長時間労働」から50年「長期間労働」へ時代は、刻々と変
化しているわけです。
私には、老後も安泰なくらいの資産があるはずもないので、一生楽
しく働けるようにするだけです。
そのためには、何事にも学びの心を持つことと、そのための健康な
身体を維持(具体的には予防医療)することだと思います。
「ライフ・シフト 100年時代の人生戦略」
【関連記事】
「新しい時代の商売の在り方」
「新しい時代の人の生き方」
コメント