安さを自慢するバカ
1997年に日本は消費税税率を3%から5%に引き上げました。それ
と同時に各種の緊縮財政開始。バブル崩壊後の総需要不足の状況で、
総需要を縮小する政策を採ったため、日本経済はデフレに突入しま
した。デフレ脱却を標榜して誕生した安倍政権も、2014年に消費税
率を8%へ再増税。日本経済は再びデフレ化。
なんとも小難しい話で始まりしたが、これだけ知ってるよと言いた
いわけではありません。
現在の日本の経済状況がデフレである認識と経済成長を出来ていな
いことを理解できている人は、そう多くないと思います。
この「デフレ」という言葉ですが、よく耳にすると思うのですが、
それを第三者に分かりやすく説明してくれとなると、急に黙り込む
人が多いと思います。
実際に黙り込むその一人が私なのですが、それではいけないという
ことで、ここ数年、経済について勉強しています。
そこで、この「デフレ」について、もっとも分かりやすいであろう
説明をしたいと思います。
私の言葉でしたいところですが、中野剛志さんの「目からウロコが
落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】」から引用させて頂きます。
デフレとは、一般的には、一定期間にわたって、物価が持続的に下
落する現象のことを言います。
その反対に、物価が持続的に上昇する現象は、インフレと呼ばれま
す。
デフレがどうして起こるのかと言えば、それは経済全体の需要(消
費と投資)が、供給に比べて少ない状態が続くからです。
デフレとは、需要が不足し、供給が過剰になること、つまりモノが
売れない状態です。
モノが売れない状態が続くのですから、企業は赤字が続き、最悪の
場合は倒産します。
労働者は賃金が下がり、最悪の場合は失業します。
需要とは「消費」と「投資」です。
そして、労働者は賃金が下がると「消費」をしなくなるので、需要
が減少してしまうのです。
以上引用。
ちなみに、中野剛志さんの「目からウロコが落ちる 奇跡の経済教
室【基礎知識編】」ですが、タイトル通りであります。
何冊か経済に関する本を読んでみましたが、これが最も素人の私に
もわかり易かったです。
さて、上記の内容を踏まえた上で、下記のツイートを見てもらいた
いのです。
私のお気に入りの堀江貴文さんの最近のツイートです。
三つ連続でお願いします。
群馬のマッサージ屋安っ!
— 堀江貴文(Takafumi Horie) (@takapon_jp) 2019年5月16日
今やバンコクとかの方が高いよね。 pic.twitter.com/PTlZZ0SBla
安いの自慢するなよ。 https://t.co/CKRUJCLsSh
— 堀江貴文(Takafumi Horie) (@takapon_jp) 2019年5月16日
クソツッコミめ笑、
— 堀江貴文(Takafumi Horie) (@takapon_jp) 2019年5月16日
あのな、マッサージの安売りは即働いてる人の給料の安さに反映するわけ。労働集約産業だから。証券の手数料はシステムで大量に捌けるから人手いらないわけよ。 https://t.co/vky7qGLYI0
まず、一つ目のツイート、群馬のマッサージ料金の安さに驚いてい
るのかな?バンコクと比較しても安いとのこと。
何故、こんなに安いのかというと、デフレだからモノやサービスが
売れないから、料金を安くしているわけです。
そこで、二つ目のツイート、デフレの認識があるかどうかわかりま
せんが、福岡の方がマッサージ料金は安いことを堀江さんいアピー
ルしてますね。
それに対して堀江さん「安いの自慢するなよ」です。
まあ、これもデフレですから、「あそこが2580円ならうちは2300円」
となってしまうわけです。他よりも一番安いよと。
堀江さんがどう考えたかはわかりませんが、私も全く同意で、料金
が安いことなんてなんの自慢にもなりません。
とくに、個人向けサービスなら考えれば分かります。時間の切り売
りをしているに過ぎませんから。
マッサージの成果でお金を払う人なんていないでしょう!?
大体、マッサージは時間で料金を払うものですよね。もちろん違う
ところもあると思いますが・・・
一人の人間が生産出来る量を考えると、たとえば一時間で何人のお
客をこなすことができるかです。
このツイートの福岡のマッサージ料金は、60分2300円です。
つまり、一人当たりの生産性の問題になるわけです。
このことを全く理解できていないのが、三つ目のツイートです。
機械がやることと人間がやれることをごちゃごちゃにして、料金だ
けを比較する始末。
だから、このようなマッサージ料金の体系では、いくら働いても、
給料は良くならないのです。
もっと言えば、スタッフは豊かにはなれない。
これは、私が働く美容業界も全く同じ状態になっています。
この三つのツイートを眺めながら、「デフレなんだよなぁ~」と考
えていました。
このデフレですが、モノが売れないということですが、もう一つ重
要なことがあります。
デフレとは、物価が下がり続ける=貨幣の価値が上がり続ける状態
でもあります。
ですから、貨幣の価値が上がり続ける状態では、誰も支出をしたが
らないので、経済は成長しなくなるのです。
貨幣というよりおカネと言った方がわかりやすいでしょうか。
おカネの価値が上がるわけですから、人はモノやサービスにおカネ
を使うよりもおカネを欲しがるようになって、モノやサービスにお
カネを使わず、おカネを貯め込むようになるのです。
おカネが回らないから、経済も成長しません。
日本政府の経済政策がどうのこうのと言ってもはじまりません。
ですから、商売をしているのであれば、まずは自分に出来ることを
考えて行動するしかありません。
だからこそ、お客にとって価値あるモノやサービスを提供できるよ
うに、努力する必要があるのではないでしょうか?
料金の安さを自慢するよりも、モノやサービスの価値を自慢したい
ものです。
そして、モノやサービスを作ったり提供したり、働く人、利用する
人(お客)の全員が幸せになるようにすることが「経営」ではない
のかと思います。
そんなことを考えて以上の三つのツイートを見ていました。
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