売り方や見せ方を工夫する努力


前日の「安やを自慢するバカ」では、マッサージ店の料金について、
自分なりの解釈を書かせてもらいました。デフレについても理解で
きていなければ、デフレによって経済がどうなるかも理解できてい
ない人が多いようで。これは、私が働く美容業界も理解できていな
いという点では全く同じ状況になっています。


デフレとは、需要が不足し、供給が過剰になること、つまりモノが
売れない状態です


モノが売れない状態が続くのですから、企業は赤字が続き、最悪の
場合は倒産します


当然、モノやサービスを安く売るところがドンドン出てきます。

とくに、この10年の間に美容業界でも安売りのお店、低料金のお店
が増えました(もちろんそれ以前から安売り店はありました)。


お客側としては、安売り合戦はむしろ大歓迎と言いたいところです。

ところが、激しいコスト削減の挙句、材料も安いものに切り替えら
れてしまい、結果としてお客の髪も傷むことになります


髪をキレイにする為に美容室に行ったのに、髪を傷めることをやっ
てしまっているのでは本末転倒です。

こうやって考えると、安売り合戦は、巡り巡ってお客にとっては、
結果的に髪を傷めてしまうので、「損」なのです


このデフレを生き残る選択として、料金を安くすることはあまりに
も安易過ぎます。

お客は一見すると得をしているようでも、長い目でみていくと損す
ることになる。

お店側としても、技術料金が安くなるので、一人当たりの技術者の
売り上げは相対的に下がっていきます。

当然ならがら、スタッフの給料が増えることはありません

美容室で使用する材料代にも影響が出てきて、割高な材料は使わな
くなっていきます。

そうすると、美容室側は、取引先の美容メーカーやディーラーに値
引きを要求してきます。

メーカーもディーラーも商品は取ってもらいたいので、渋々了承す
ることになる。

となると、取引先の売り上げも減少するので、やっていけなくなる
ディーラーが出てくる。

そういえば、美容ディーラーも少なくなりました。

もちろん、上記のような流れで、潰れたディーラーもありますが、
そもそもディーラーが必要なくなったこともあります。

ディーラーは、取り次ぎ店であり、その優位なところは、販路を持
っているということにつきます。

その優位性が薄れだしたのが、やはりネットです。

通販サイトで気軽に美容の商品を頼めるようになったのはかなり大
きかったはずです。

美容室がネット上で自分の好きなところで商品を選べるようになっ
たわけですから



それでは、デフレという状況を考えると、単なる安売りが得策では
ないことが分かると思います。


では、どのように美容室を展開すればいいのでしょうか?

ヘアカラーを例にして話を進めていきます。

ヘアカラーは、以前からもそうでしたが、自宅でも簡単にできるし、
わざわざ美容室に行かずともできてしまうので、過当競争にならざ
るを得ないわけです。

とくに、低料金の大型チェーン店は、消費者のニーズ(安さ)を満
たしつつ、美容のニーズ(キレイになりたい)も満たしているわけ
です。

一般の個人経営美容室は、厳しくなる一方です。

普通の美容室の考えは、「うちの技術は上手い」という自信もあり、
ある程度の料金をお客からとれると思っています。

だから、低料金の店を、技術がイマイチと思っていますから、料金
が安いという見方をしています。

つまり、技術が上手いか下手かのみで技術料金が決まると思い込ん
でいる。

ところが、技術が上手・下手が料金に転嫁される要素は、美容室の
数に影響される
わけです。

技術の質の高さをいくらアピールしても、美容室の数が今は多すぎ
ます(全国で20万軒以上)。

だらか、技術が上手い下手だけでは料金は決まりません

髪をキレイにしたいというニーズに対して、髪をキレイにできると
いう供給のバランスの問題なわけです。

ということは、全国に20万軒以上も美容室は存在するので、技術が
上手いということをアピールするのは、得策ではない
でしょう。

それだけでは、料金は高くはできないということです。

美容師さんに失礼を承知で書きますが、お客は、「美容室は、どこ
もたいして変わらない
」ぐらいにしか考えていません


今ある美容の技術メニューで料金を上げることは難しいわけです。

ならば新たに、美容室に求めるお客のニーズを探さすか創る必要が
あるのです。

従来のカット、パーマ、カラーそしてトリートメントでは、限界が
来ています。

但し、これはあくまでも「何を売るか」と言う話です。

私としては、美容室を回ってみて思うのが、もちろん「何を売るか」
の新たなメニューを考えることも大事なのですが、それよりもデフ
レであることを考えると、「売り方」や「見せ方」の方が今は大事
な気がしています


つまり、「何を扱うかではなく、何を“どのよう”に売っていくか
という考え方が必要なのです


今や、テレビは、どこで買ってもそんなに変わりません。

ですが、「何故かここで買ってしまう」ってことはありませんか?

どこに行っても美容室が同じなのに、何故か繁盛している所は繁盛
しているわけです。

この「何故」を、単に「技術が」とか「場所が」といった上辺だけ
でみないことです。

繁盛店が何故繁盛しているかを研究・追求して、そして真似てみる
ことが大切
なのです。


さて、この繁盛店について美容室ではありませんが、堀江貴文さん
「堀江貴文VS.鮨職人 鮨屋に修業は必要か?」では繁盛店の秘訣
が書かれてあります。

お店をやられている方は必読です。




デフレに始まり、経済を勉強したいビジネスマンにとっては最適な
一冊です。中野剛志さんの「目からウロコが落ちる 奇跡の経済教
室【基礎知識編】」




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