ニーズを考える因は「失客」にある


現在、美容室はドンドン潰れているわけではないのですが、美容室
の数の増加に反比例して美容室全体の売り上げは、減少しています。
減少傾向にある売り上げを増加傾向にある美容室で奪い合っていま
す。伸びている美容室の反対側で、縮んでいる美容室がある。


約30年前、パーマ液の出荷量がピークを迎えました。それから、こ
の30年余りで出荷量は、減少していきました。

実際に、美容室でパーマをかける人は約1割前後です。

街を歩いていて女性のヘアスタイルを見ると、パーマをかけている
人を見かけなくなりました。

「ソバージュ」と聞いて、パーマのスタイルを連想できる人は、年
齢がわかります。今でいうと、50歳前後でしょうか?

その上の世代になると、いわゆるパーマです。

で、ソバージュやパーマを強烈にかけていたであろう世代も今のと
ころ、パーマをかけなくなっています


あえて書かせて頂くと、ソバージュにしてもパーマにしても、美容
室側で仕掛けたものではありません


もっと言えば、美容業界がニーズを創ったわけでもありません


世間的にも時代的にも、そしてテレビの力は大きいと思います。

パーマは、戦後にアメリカから入ってきたファッションの一つであ
り、ソバージュはトレンディドラマ(W浅野など)によるもの


その影響によって、ソバージュやパーマが流行したと言えます。


とにかく、パーマやソバージュのニーズが物凄かったわけです。


今では、あまり言わなくなりましたが、美容室のことを“パーマ屋”
って呼んでたくらいですから。

勝手にお客が来店して、高単価のパーマをかけてくれるわけです。

しかも、平均すると、来店するお客の半分以上がパーマをかけてい
わけです。

ニーズがあったおかげで、儲かっていたわけです。このニーズがな
くなると、当然儲からなくなります。


そして、あまりにもパーマのニーズが凄すぎたので、美容室は何も
考えなくなり、ニーズを掴むといった、商売ではごく当たり前の努
力をしなくなってしまいました



確かに、パーマをかけなくなったかもしれませんが、それは単に、
ニーズが変化しただけの話です。

その代わりと言ってはアレなんですが、ヘアカラーをしている人を
多く見かけます。

ところが、このヘアカラーは、ホームカラーが殆どなのです。ヘア
カラーをしている人の約1割程度しか美容室で髪を染めていません


そのヘアカラーにしても、美容室で染めていた人間が、ヘアカラー
専門店に流れています。

ヘアカラーの最大の難点は、毎月染めなければいけないということ
です。髪が傷むとかの前に、毎月美容室に行くのが面倒になります。

しかも、結構な金額がかかりますしね。

美容室に毎月来店が面倒だったり、お金の面で厳しくなってくると、
ヘアカラー専門店に行くようになるわけです。

感覚的な個人の意見で何の根拠もないのですが、美容室での白髪染
めが減っているように思えます。

何故ならば、ヘアカラー専門店は、ほとんどが白髪染めだからです。

今まで、美容室に来店したお客が、ヘアカラー専門店や低料金の大
型チェーン店に流れている
のです。

となると、ヘアカラーの単価も下がり、美容業界全体の売り上げも
下がるのは当然の流れです。


結果として、美容室の数の増加と反比例して、美容業界全体の売り
上げが下がる
ことになるのです。


そこで、多くの個人経営美容室は、単価を上げることを考えだしま
す。それか、何も考えずに安売りを始めます。

そうではなくて、やはりお客のニーズを掴むことが大切なのです。

私は、美容室や美容に対するニーズは確実にあると思っています。

美容の技術を磨くことよりも、お客のニーズとは何かを徹底的に考
えることが大事なのです


ここで言うお客のニーズとは、美容技術のメニュー、たとえばヘッ
ドスパやトリートメントなどを言っているのではありません。


お客から見た「美容室や美容師の在り方」を言っています


そのニーズを考える因は、「失客」にあると見ています。

綺麗ごとでもなんでもなくて、お客のニーズを捉えることが出来れ
ば、失客は起こりません。

ごく当たり前のことですが、自分のお店、そして自分自身がお客に
対してどのように見えているかを見るべきなのです。


お店と自分自身も含めて「整理・整頓・清掃・清潔・躾」を改めて、
見直す必要があります


お客が美容室と美容師に“見ているもの”は、これなのかもしれま
せん。

ちなみに、ニーズをしっかりとらえてやっている美容室は、私の知
る限り、伸びています。

デフレになんか負けてはいけません。しっかりとお客のニーズを掴
み淡々とやっていくのみです。



さて、業種、職種は違いますが、飲食店の経営について、堀江貴文
さんが2冊の本を出しています。

経営者の目線とお客目線の両方から、時代に合わせた適格なアドバ
イスが書かれてあり、なんらかのお店を営業されている方には、お
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