2020年大学入試制度改変について


文部科学省は2019年5月29日、大学入試センター試験に代わって導
入する2021年度大学入学共通テストの実施大綱案などを公表しまし
た。初の実施日は2021年1月16日と17日。


センター試験」が終了し「大学入学共通テスト」が実施されます。

ということで、今回は、「大学入試制度改変」について。


「大学入学共通テスト」では、現在のセンター試験で実施されてい
るマーク式の問題に加え、記述式問題も導入されることに。

また、知識・技能に加えて、思考力・判断力・表現力を重視する問
題が出題されるようになります。

今まで以上に「知識の丸暗記」では対応できなくなる共通テストに
向けて、普段からしっかりと授業理解を進めていくことが大切です。

とされているようです。


さて、何故このような内容を取り扱ったかというと、これから早く
て5年程で、この共通テストを受けた人間が社会に出ることになる
からです。

共通テスト世代が社会に進出したとき、どのような事が起きるので
しょうか?

その辺のところを、予想している本を2冊紹介します。

まずは、成毛眞さん「黄金のアウトプット術」です。



以下に引用。


ゆとり教育以降、小中学校や高校では、アクティブラーニングが行
われるようになってきた


教室で教師から一方的に知識を教わるのではなく、自分はどう考え
ているかを発表するタイプの授業が増えているのだ。

だから、若い子はアウトプットに慣れつつある

少子高齢化が叫ばれるこの時代、ユーチューバーと呼ばれる若者が
数多く登場し活躍しているのは、受けた教育の賜と言えるのではな
いか。

ところが、ゆとり以前の教育、偏差値重視の詰め込み教育、インプ
ット重視の教育を受けてきた世代、つまり今の30代後半より上の世
代は、インプットにだけは長けた人が多い


勉強好きで、知識が増えるのに喜びを覚える人も多く、そうい人が
優秀とされてきた向きもある。

しかし、そこで留まっていては「何を考えているかわからない、む
しろ怖い人
」で終わってしまう。


自分は誤解されやすい、周囲は自分を正しく理解してくれないと思
うことがあるなら、それは、アウトプット不足のせいかもしれない。

そして、次々と社会人デビューするアクティブラーニング世代は、
アウトプット能力を装備している


丸腰のままでは、あっという間に並ばれるどころが、抜かされて、
置いてきぼりをくらうだろう。


以上引用。


続いて、佐藤優さん「調べる技術 書く技術」




以下に引用。

私が今、知的生産力を高める必要性が高まっていると述べているこ
とには、2020年に大学入試制度が改変されることも背景にある。

マークシート式だと、問題を解けなくても、適当にマークして点数
をとれる可能性がある。

もちろん、学力がついている人はマークシート式でも記述式でも高
得点をとることができる。

(中略)

自分で考えて問題を解く力をつけるというよりも、「選択式回答で
正答率を高めるための傾向と対策」といった、いびつなものになっ
てしまったのだ。

いわば、内容を完全に理解していなくても、解答パターンを暗記す
ることによって点数をとれた者勝ち、というわけである。

(中略)

総じて、基礎学力が十分ではないまま、要領よく入試を乗り越え、
大学時代を過ごし、そして社会に出ている人が多いというのが、残
念ながら現状
なのである。

厳しい見方かもしれないが、事実、基礎学力に自信のない社会人は
多いはずだ。

さて、問題はここからである。2020年度の改定より、入試の形式は
かなり変わる。

ひとことでいえば、「自分で考えて答えを導き出す力」が問われる
ものになるだろう。

そして、今からほんの5年後以降には、そんな2020型入試を経た、
基礎学力の高い学生が社会に出てくる
ことになる。

(中略)

2020年型入試の経験者は、おそらく、基礎的な知識・教養をもとに
ものを理解し、考え、そしてアウトプットするという能力がすでに
養われた状態で、社会に出てくる可能性が高い


つまり知的生産力において、彼らが1979年型入試の経験者を凌駕し
てしまうことも考えられる。

(中略)

今後、新しい世代が社会に出てきても自信をもって仕事を続けられ
るように、今からでも勉強し、新聞や本をしっかり読むこと、そし
自分の頭で考える力を磨き、知的生産力を高めていくことが重要
なのである。


以上引用。


2冊とも共通するのが、「アウトプットと知的生産力」をいかに高
めるか、ということ。

ちなみに、「アウトプット=知的生産力」と捉えていいでしょう。

もちろん、基礎的知識・教養を身に付けるのは、当然として、その
先として、理解したモノから「自分の頭で考える力」があるかどう
かが、カギだということを2冊は伝えたいのでしょう。


私に言わせれば、「自分の頭で考える力」というよりも、「自分の
言葉を持つ
」べきなのです


そして、その「自分の言葉」は、「自分の頭で考えた言葉」でなけ
ればなりません。


「自分の頭で考える力」をつけるには、「自分の頭で考えるクセ
を身に付けることが出来なければ永遠に無理です



いくら、「アウトプットをやりましょう」「アウトプットが大事」
と言ったところで、何からやればいいのか?


ということで、以前の記事「自分の頭で思考する癖のつけ方」で、
そのやり方を紹介していますので、そちらを読んでみてください。


インプットにしろアウトプットにしろ、日頃からの勉強が大事であ
ることは言うまでもありません



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自分の頭で思考する癖のつけ方

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