環境ホルモンはどうなったのか?
「環境ホルモン」はご存知でしょうか?環境ホルモンとは、環境中
に放出・蓄積された合成化学物質で、人体に入って生殖や発生に関
するホルモン(内分泌物質)の働きを乱すような物質を「(外因性)内
分泌攪乱物質」と呼び、日本での造語として、「環境ホルモン」の
呼称が通例となっています。
池内了さん「科学は、どこまで進化しているか」
この本の中で「環境ホルモンは、人体にどんな影響を与えるか?」
というテーマで環境ホルモンを取り上げています。
いわゆる、「合成化学物質」が人体への影響は一体どうなのか?
日本においては、環境庁(現・環境省)が1998年に「環境ホルモン
戦略計画SPEED98」という表題の下に、内分泌攪乱作用を起こす疑
いのある67個の合成化学物質を指定しています。
それらは、大きく分けて、残留性有機汚染物質、農薬、その他の化
学物質、に分けられます。
残留性有機汚染物質は有機化学物質で、なかなか分解できないため
に長く土中や水中に残留し、脂に溶けやすいので生物の体内に入っ
て濃縮されやすく、毒性が強くて環境や健康に有害であり、半揮発
性であることが多いために、大気経由で汚染が拡散しやすい、とい
う特徴を持っているのです。
代表的なものに、ダイオキシン・PCB・DDTなどがあります。
それぞれに聞いたことがある方も多いと思います。
それぞれの作用については、池内了さん「科学は、どこまで進化し
ているか」を読んで頂くか、今では簡単に、ネットで調べられるで
しょう。
合成化学物質と言われるよりは、私的には「プラスチック」がピン
ときます。
プラスチックといえば、土にかえることのない物質、燃やせば有害
物質をばらまくというイメージが強い。
その合成化学物質が人体のみならず、あらゆる面で影響を与えてい
るようです。以下のニュースがその最たるものでしょう。
プラごみ対策 G20へ厳しい認識が必要
【論説】
30年後には魚の量よりプラスチックごみが多くなる、とまでいわ
れる。それほどひどい海洋汚染への対策にしては切迫感に乏しい。
プラごみを減らすため政府は、各省庁の当面の取り組みを盛り込ん
だ行動計画をまとめた。併せて「プラスチック資源循環戦略」と海
岸漂着ごみ対策も正式決定した。
6月に大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会合に備えた対応
である。安倍晋三首相は問題解決に向け「リーダーシップを発揮し
ていく」と語ったが、国内の態勢整備は遅れている。議長国の面目
を保つために体裁を取り繕ったと見なされはしないか。
■大排出国の責任■
政府の対策によると、使い捨てプラスチックの排出量を2030年
までに25%削減するというのが目標。
達成のためにペットボトルのリサイクルを進め、レジ袋の有料化を
小売店に義務づける。
波や紫外線で細かく砕かれて海中を漂うマイクロプラスチックの削
減も重視し、洗顔料などに含まれる微粒子の使用抑制を企業に要請
する。(後略)
この記事を読んで私は以下のツイートをしました。
「洗顔料などに含まれる微粒子の使用抑制を企業に要請する」
— arusara (@arusara_jp) 2019年6月1日
美容業界でもパーマ液、カラー剤に含まれるプラスチック樹脂は、問題です。
プラごみ対策 G20へ厳しい認識が必要 | 論説 | 福井新聞ONLINE https://t.co/1HxKZC4fJH
「洗顔料などに含まれる微粒子の使用抑制を企業に要請する」
美容業界でもパーマ液、カラー剤に含まれるプラスチック樹脂は、
問題です。
美容室で使用するシャンプー、トリートメント、パーマ液、カラー
剤には、プラスチック樹脂やシリコンが含まれています。
当然、使用していないメーカーもありますし、ドラッグストアでも
普通に含まれているものが販売されています。
プラスチック樹脂やシリコン入りの薬剤を使用すると、パーマがか
かりにくい、カラーチェンジがしにくいといった、技術面での不便
さがあります。
その一番わかりやすい例が、縮毛矯正やヘアマニキュアです。
何故、縮毛矯正やヘアマニキュアをすると技術面で不便が生じるか
は今回は、割愛させて頂きます。
ちなみにですが、このような話を私は、毛髪科学と美容商材の両面
から勉強会を行っています。
ただ、技術面の不便さだけであればいいのですが(ホントはよくな
いけど)、技術面のみならず人体への影響も少なからずあるのです。
ニュース記事には、「洗顔料などに含まれる微粒子の使用抑制を企
業に要請する」とあります。
以前からも、パーマ液やカラー剤を髪や頭皮に付けるリスクを指摘
するところはありました。
ただ、環境ホルモンは、ごく微量での影響であり、複合的な作用も
加わるので、直接的に因果関係を証明することは困難とされ、いっ
そうの研究を行わねばならないといいます。
現状は、確かに人体への影響を無視できないところもあるかもしれ
ないが、日本では、普通にカラー剤等が販売されています。
自己責任で使用するしかないと言ってしまえばそれまでです。
この辺のところを、池内了さん「科学は、どこまで進化しているか」
では以下のように締めくくっています。
以下に引用。
現在では環境ホルモンの作用は大きくないとの宣伝が行き届いて、
以上に書いたような物質に対する警戒心が薄れている。
いずれも実際に使っているのは微量であり、それぞれがおよぼす影
響は小さいため、大きな問題ではないと誤解されているためである。
また、これだけ化学物質で使われているのだから、もはや手遅れで
あり、今さら問題にしてもしかたがないという意見もある。
こうして、環境ホルモンに関する社会の関心は低くなっているが、
はたしてこれでよいのか疑問に思う。
以上引用。
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