国家戦略特区で外国人美容師解禁?


現在日本の美容学校に学ぶ外国人留学生は毎年200人ほどいますが、
日本の美容師免許は取得できるものの就労は認められていません。
日本の美容師免許は国籍問わず、国家試験に合格することで取得が
できるものなのです。


しかし、資格を取得した後に実際に日本で就労するとなると、これ
は別問題となります。

就労するには、ある程度の条件をクリアしている外国人のみ日本で
美容師として就労することが可能
なのです。

その条件を「在留資格」といいます

現在の日本の法律では、日本で美容師免許を取得しても在留資格は
ついてきません


つまり、就労するためには、「在留資格」が必要になるのです。


そこで、国家戦略特区で「外国人美容師の解禁」が検討されていま
す。


これを踏まえて以下の記事になります。

国家戦略特区 政府ワーキンググループ委員関連会社
提案者から指導料200万円、会食も


政府の国家戦略特区を巡り、規制改革案を最初に審査するワーキン
ググループ(WG)の原英史座長代理と協力関係にあるコンサルタ
ント会社が、2015年、提案を検討していた福岡市の学校法人から約
200万円のコンサルタント料を受け取っていた。原氏は規制緩和の
提案を審査・選定する民間委員だが、コンサル会社の依頼で、提案
する側の法人を直接指導したり会食したりしていた。

(中略)

広報資料などによると同社は15~16年、数十件の特区提案にコンサ
ルタント業務などで関与。このうち少なくとも福岡市中央区の美容
系学校法人が、日本の美容師資格を持ちながら国内で就労できない
外国人を特区内で働けるようにする規制改革を希望
し、同社にコン
サル料を支払った
。 (後略)


福岡市中央区の美容系学校法人が、「国家戦略特区で外国人美容師
解禁
」してほしいとの規制改革を希望したゴタゴタです



国家戦略特区と言えば、「加計学園」問題。

いつの間にか、なんとなく闇雲になった感は否めません。

安倍晋三首相が「利害関係者を優遇したのでは」と国会で追及され
ていましたね。


国家戦略特区とは一体どのようなものかと聞かれると、説明できる
人はあまりいないはずです。


記事にもありますが、「内閣府によると、原氏ら民間委員に提案者
との利害関係を規制するルールはなく、特区制度自体の公平性・中
立性が改めて問われそうだ
。」とあります。

実は、この部分が最も核心的な部分なのです。

つまりは、「利害関係を規制するルールはなく」というところです。

「規制ルールはない」とは言い換えれば、特区に関われる人間が何
をやっても構わないということを意味します。


さて、イマイチよくわかないかもしれないので、わかり易い説明を
引用することにします。

丁度、「加計学園」問題のときに三橋貴明さんのブログで、国家戦
略特区についてとり上げていました。


そもそも「国家戦略特区」とは何なのか?

ちょっと長いですが、絶対に勉強になるし、知るべき内容です。
頑張って読んでみて下さい。


国家戦略特区と安全保障

国家戦略特区とは、元々が特定の事業家、投資家が、自らの利益最
大化を達成するための規制緩和を実現するための一手段
です。

全国的に一気に規制緩和をしようとすると、反発が大きくなるため、
「特区」に限定してはじめ、全国展開するというスキームになって
います。

要するに、小泉政権時代の「構造改革特区」の焼き直しです。

構造改革という言葉が、今一つ評判が良くないため(その割に使っ
てはいる政治家も多いですが)、「国家戦略特区」と名前を変えた
のです。

国家戦略特区の最大の問題は、特区の認可を国会議員ではなく(事
実上)、諮問会議の有識者議員と称する民間人が決めてしまうとい
う点
です。

ちなみに、現在の有識者議員と称する民間人は、以下の五名。

・秋池玲子  ボストンコンサルティンググループシニア・パートナ
      ー&マネージング・ディレクター
・坂根正弘  株式会社小松製作所相談役
・坂村健    東洋大学情報連携学部 INIAD学部長
・竹中平蔵  東洋大学教授 慶應義塾大学名誉教授
      (パソナグループ取締役会長)
・八田達夫  アジア成長研究所所長 大阪大学名誉教授

竹中氏のタイトルは、例により「大学教授」のみになっていたため、
「パソナグループ取締役会長」を付け加えておきました

五名の民間人は、国会で認定されたわけではありません。

「主導」的に国家戦略特区における規制改革を推進するべき安倍総
理(法律でそうなっています)が「任命」したものです。

日本国民にも、国会議員にも、諮問会議のメンバーを罷免する権利
はありません


国家戦略特区諮問会議の民間人は、法的には、
「「第三十三条 四  経済社会の構造改革の推進による産業の国
際競争力の強化又は国際的な経済活動の拠点の形成に関し優れた識
見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する者」

と、実に抽象的な基準で総理大臣が任命することになっています

ちなみに、国家戦略特区法に、「罷免」の条項はありません。

(参考まで。国家戦略特区法では、特区を設ける理由として「産業
の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点を形成
することが重要である
」ことが挙げられています(というか、それ
しか挙げられていません
)。

つまりは、国際競争力の強化のために、特区法は作られているので
す(表向きは)。

獣医学部増設が、日本の国際協力と関係があるとは、わたくしは寡
聞にして知りませんでした!)

国民の手が届かない「有識者議員」たちが、恣意的に運用する国家
戦略特区。

「発展途上国?」あるいは「中国?」としか表現のしようがないの
です


しつこいですが、わたくしは個別の規制緩和の善悪について論じて
いるわけではありません。

「議会」が主導権を持てない中、民間人が勝手に政策を決める状況
について「民主主義が成立していない」
と問題視しているのです。
(後略)


意味わかりますかね?

ご存知の方であれば、何を今更という感じでしょうが、初めて知る
人にとっては、ちょっと耳を疑うかもしれません。

規制緩和というと、言葉的にはなんとも響きもよく、なんとなく改
革が進んでいる感じがします。

ところが実際は、特定の事業家、投資家が、自らの利益最大化を達
成するための規制緩和になっている


それに利用されているのが、「国家戦略特区」というわけです。

国家戦略特区の最大の問題は、特区の認可を国会議員ではなく(事
実上)、諮問会議の有識者議員と称する民間人が決めてしまうとい
う点です


この民間人は、国会で認定されたわけではありません。

そして、最大の問題点は、「議会」が主導権を持てない中、民間人
が勝手に政策を決める状況であり、「民主主義が成立していない」
ということです。



仮に今回の「国家戦略特区で外国人美容師解禁」となった場合、
岡市中央区の美容系学校法人が優先的に人材を派遣する
ことになる
でしょう。

ちなみに、特区における外国人労働者の農業就労は認められており、
そこへ外国人労働者を派遣する会社が必要
となるわけですね。

その派遣会社の一つを、「パソナ」といいます。パソナグループ取
締役会長は、竹中平蔵さんですね。


国家戦略特区、規制緩和、外国人労働者など、問題の本質を押さえ
ないと、言葉のみイメージのみとなるだけです。

こうした問題を理解するには、そのための理解する基礎が必要とい
うことです



さて、今回は三橋貴明さんのブログを参考にしましたが、より深く、
政治・経済・お金の本質を理解するための最適な書籍を紹介します。

是非、一読をお勧めします。


「日本人が本当は知らないお金の話」




「帝国対民主国家の最終戦争が始まる」


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