発言から読み解くお店の運営の在り方
美容室を営業で回っていると、当然お店の運営についての話が多く
なります。先日も40歳前後の美容師さん(男性)とお店の運営につ
いて、どういう状況かを聞いておりました。
その方は、お店をオープンして10年。オープン当初は、スタッフも
いたとのことですが、現在はお一人でされている状況。
面貸し(ミラーレンタル)をしているとのこと。
現状どうですか?と質問すると、
オーナーさん「今、ちょうどいい感じなんです」
???
どうやら、一人でお店を回すには、最適のお客さんの数とのこと。
だから、これ以上は、お客さんを増やせない、というよりも回せな
いといった感じ。
良く言えば、お店の状態が非常に安定している。
だから、現状ではとくに何も困っていないし、新しく何かを始める
つもりもない。
ですが、強いて言えば「単価を上げたい」そうで・・・
出ました!“単価アップ”です。ホント、美容室は何かとあれば単
価アップと言います。
これを口に出すということは、何となくですが、状況が読めてしま
います。
「単価を上げたい」と考え出すタイミングというのは、大体がお客
が減少傾向、もしくは来店周期が長くなっているときです。
来店周期が長くなってもいいように、単価の高い技術をやりたがる
のが、美容室なのです。
来店周期を頻繁にさせようとは、努力しません。
来店周期を頻繁にさせるには、営業しかないのですが、美容師は、
大の営業嫌いなので、口でどうのこうの言うよりも、単価の高い技
術を勧めます。
単価の高い技術となると、当然ですが、時間もかかるのです。
となると、お客を回す時間にも制約が出てきてしまいます。
一人でやっている美容室は、バタバタするのを嫌がるので、一人当
たりの時間を長めにとるのです。
それだけ時間をかけてやっているのだから、「もう少し単価を上げ
たいな」と考えてしまうのでしょう。
ですが、この「単価を上げたい」と言い出したときは、私の経験上、
危険信号です。
先程の発言「今、ちょうどいい感じなんです」なんですが、これが
何を意味するのか?
「これ以上は上がない」と言っているようなものです。
つまり、今がお店の売り上げのピークなんです。
ピークがくれば、後は落ちるだけです。残念ですが。
話をしていて私が、最も気になったのが、
「うちのお客さんは、それほど美意識が高くない」
もちろん、この発言には前後があります。
この発言の前に私は、「何か今勉強会に参加されていますか?」と
質問しました。
その答えとして、「うちのお客さんは、それほど美意識が高くない」
だから「最新の流行とか押さえておく必要がないので勉強会には参
加していません」とのことでした。
この発言を聞いて、益々雲行きが怪しくなってきました。
「うちのお客さんは、それほど美意識が高くない」
この発言の何がマズイのか?
私の意見としては、二つあります。
まず一つ目、美意識が高いからこそ個人経営美容室に通っているの
です。
全く、逆なのです。
美容室にお金をかけたくても、かけれないのです。
ちなみに、そのお店のお客の層ですが、40代~60代。
この世代の方々が、美容室ではなく、低料金美容室にシフトしてい
るのです。
その代表例が、ヘアカラー専門店ですね。
ということで、二つ目の理由は、来店しているお客が単純に低料金
美容室の存在を知らないかもです。
その存在を知りつつも通っているとなると、低料金が嫌か、または
行ってみたいけど行けないのかのどちらかです。
ちょっとしたオーナーさんの発言ですが、その発言にお店の運営の
在り方が見え隠れしたのでした。
結局、何が言いたいのかというと、今のタイミングで集客と失客を
改めて考えるチャンスだということです。
このタイミングを逃すと、ダラダラとなってしまって、お店の現状
維持を望むようになります。
ですが、現状維持とは、後退を意味します。
自分では、現状維持を望んでも、周りは前へ進ん行きます。
そして、このオーナーさんの最大の問題点は何かというと、
「老」と「病」を頭に入れていないということです。
現状の仕事のスタイルをいつまでも続けられるわけではないのです。
美容室の運営を考えると、「集客」と「失客」は永遠のテーマです。
これには、“これだ”という正解はなく、常に、試行錯誤を積み重
ねてやっていくしかありません。
西野亮廣さんの「新・魔法のコンパス」では、「集客」と「失客」
について説かれてあるので、お店を運営されている方は、絶対に読
むべき一冊です。
【関連記事】
「美容室を急成長させた集客の工夫とは?」
「集客と失客は隣り合わせ」
「全国津々浦々に存在する美容室の悩みとは」
コメント