美容業界の仕事の変化
テクノロジーの進歩により、「無人化」「機械化」「自動化」が進
められています。「無人化」「機械化」「自動化」が更に進んで行
くと、当然『今ある仕事の殆どで求められる仕事の内容やスキルが
変わる』のです。
仕事の内容も仕事そのものも変わります。無くなる仕事もあれば、
新たな仕事も出てくる。
「今は有るがこれからは無い」
「今は無いがこれからは有る」
時代の変化とは、まさにこういうことです。
さて、美容業界の変化を表す、二つの記事を紹介します。
まず一つ目がこちら。
こちらは、美容メーカー、ディーラーに関する記事です。
アマゾン、プロ向け美容品通販に参入 業務用染髪剤など
【ニューヨーク=高橋そら】米アマゾン・ドット・コムは24日、プ
ロの美容師やスタイリスト向けの新たなネット通販サービスを始め
ると発表した。
プロが仕事で使うシャンプーや染髪剤などを販売する。
必要な商品を手ごろな価格ですぐに配達することで、新たな顧客層
の拡大を狙う。
この日始めたのは「アマゾン・プロフェッショナル・ビューティ
ー・ストア」。
企業向けネット通販サイトの「アマゾンビジネス」を通じ、資格を
持つ美容師やスタイリスト、エステティシャン向けに業務用商品を
販売する。
染髪剤やトリートメント、ドライヤー、ネイルカラーなどの商品を
扱う。
購入の際は米国の各州が発行した免許証の提示が必要になるという。
アマゾンによると現在、プロ用美容商品は「競合品がほとんどなく
価格競争もない」状態だ。
美容師やスタイリストは独立して仕事を請け負っているケースが多
いため、それぞれ仕事で使う製品を買い集めるにも手間がかかって
いるという。
アマゾンは「多数の販売パートナーと便利で迅速な配達網を生かし、
こうした問題に対処できる」(担当者)としている。
アマゾンの新サービス発表を受け、24日の米株式市場では美容関連
株が急落している。
米化粧品小売りのアルタ・ビューティーの株価が一時前週末比4%
安、同業のサリービューティー株は同14%安を付けた。米化粧品小
売業界にも、旧来型ビジネスモデルに変革を促す「アマゾン・エフ
ェクト」が到来する可能性がある。
以上引用。
この記事について私は以下のツイートをしました。
またこれで、美容メーカー、ディーラーの営業マンは、要らなくなるね。 https://t.co/Hw9TE1tsbj
— arusara (@arusara_jp) 2019年6月25日
『またこれで、美容メーカー、ディーラーの営業マンは、要らなく
なるね。』
これは、あくまでもアメリカ限定の話なので、すぐに日本でも、と
なるかどうかは分かりません。
日本では、確かに「美容室専売品」があるにはあるのですが、ごく
一部もいいところです。
美容室でしか手に入らない商品というのは、正直殆どありません。
美容メーカーの戦略としては、初めから一般向けに販売することを
前提に美容室に商品を卸します。
何故、商品を卸すのかというと、美容師の“口”を使って、宣伝を
してもらうためです。
そして、大体広まったかな、というタイミングで一般向けに販売を
開始します。
その代表例が、「ヘアマニキュア」です。
美容室にもドラッグストアにも同じ商品を見かけることありません
か?
あれって何も変わらないのです。
何が変わるかというと、“価格”のみです。
その辺を割り切って理解している美容室は、お客さんに「ドラッグ
ストアで買った方が安いですよ」と教えたりします。
日本では、美容室のみで取り扱う商品は、殆どありません。
二つ目の記事がこちら。
美容室に関係ありそうな感じの記事です。
スマホでシャンプーとトリートメントのセットを2万通りから提案
ユニリーバから新ブランド「ラボリカ」デビュー
ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングから、スマート
フォンで髪の状態や好みの仕上がりに合わせた適切なヘアケアを提
案するパーソナライズシャンプーブランド「ラホ゛リカ(Laborica)」
が7月1日の今日デビューした。
商品は公式サイトから購入できる。
同ブランドでは、毛髪診断士が監修した髪診断の結果を基に、大手
美容研究所の科学者が処方したハンドメイドのシャンプーとトリー
トメントを展開。
スマートフォンから公式サイトを開き、現在の髪の状態や、仕上が
りのイメージなどを約30項目を髪診断で回答すると約2万通りの組
み合わせの中から適切なセットが提案される。
商品はノンシリコン製法で、パラベンや合成着色料無添加の処方を
採用。
シンプルで本当に必要な成分だけで作る。価格はシャンプーとトリ
ートメントのセット(各250ml)で税込6,980円。
以上引用。
この記事について私は以下のツイートをしました。
美容室の仕事がドンドン無くなっていきます。そして、これからも。
— arusara (@arusara_jp) 2019年7月2日
スマホでシャンプーとトリートメントのセットを2万通りから提案、ユニリーバから新ブランド「ラボリカ」デビュー https://t.co/fn7lP6eh2p
『美容室の仕事がドンドン無くなっていきます。
そして、これからも。』
私はあえて「美容室の仕事」と表現しました。
美容室が販売するのは、もちろん「美容の技術」です。
つまり、カット、ヘアカラー、パーマ等ですね。
技術以外の部分のヘアケア商品の販売の記事ですから、美容業界に
関係のない方には、美容室との関連性は感じにくいかもしれません。
ところが、髪の毛や頭皮の悩みを最初に相談するのは、美容室だっ
たりします。
ということは、技術のみならず、髪の毛や頭皮の悩みは美容室に対
する物凄いニーズなのです。
このような状況を把握しているからこそ、美容メーカーは、記事に
あるようなサービスを開始するのです。
数年前から、薄毛を病院で対応するようになりました。
これは実質、薄毛に関しては「病院以外は何もするな」という意味
だと私は捉えています。
以前であれば、脱毛症(円形脱毛症等)を病院の皮膚科を受診する
人が多かったのですが、今では、発毛・育毛も病院に行く時代です。
そして、もらう薬が低価格なジェネリック製品。
飲み薬で、発毛・育毛対策を打てるわけです。
本来であれば、美容室で取り組める仕事を他にいいように取られて
いるわけです。
しかし、もっとも私の頭の痛いところが、その事に気づいている美
容室が少ないし、気づいたとしても、なんとも思っていないところ
なのです。
こうやって、美容室で出来る仕事が、また一つ、また一つと取られ
ていき、最終的には、現在の「技術の安売りが流行」するようにな
ってしまいました。
今回の記事にあるように、これからも業界に関係なく、仕事の在り
方が変わっていくでしょう。
そのような内容の本を以下に紹介します。是非読んでみてください。
堀江貴文さん「僕たちはもう働かなくていい」
加谷珪一さん「ポスト新産業革命 「人口減少」×「AI」が変える
経済と仕事の教科書」
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