プロダクトアウトとマーケットイン


あらゆる業界に共通する話だが、新しい時代におけるビジネスの主
役は、売り手ではなく買い手となる。「ユーザー主導」「顧客本位」
など、買い手を中心に据えるという考え方はこれまで何度も提唱さ
れてきた。


だが現実には、売り手側の一方的な思い込みであることが多く、本
当の意味で利用者中心のビジネスにはなっていなかった。


上記は、加谷珪一さんの「ポスト新産業革命 「人口減少」×「AI」
が変える経済と仕事の教科書」から引用したものです。




ちょっと強引ではありますが、美容室の仕事について、加谷珪一さ
んの「ポスト新産業革命」を引用しつつ、売り手と買い手について
考えてみようと思います。

簡単に言うと、売り手が美容室で買い手がお客ですね。


現在、美容室で行われている技術は、自宅で出来るようになってき
ています(ヘアカラーがその最たるもの)


実際、カットのみで美容室に通うくらいになってきています。

美容メーカーの商品の多くは、一般向けが多く、美容室側も低料金
化が進んでいます


美容室の数自体も右肩上がりに増えており、技術云々で差別化は殆
どできなくなってきています。

技術云々で差別化できないことに、残念ながら美容室は、気づいて
いません




「プロダクトアウト」とは、技術や設備などのメーカー側の論理で
商品開発や販売を行うマーケティング理論のこと
です。

例えば、「新しい技術を使うと、○×という機能が実現できるので、
その技術を使った製品を市場に大量に投入する」といったやり方。



「マーケットイン」とは、利用者側のニーズを起点に製品開発や販
売戦略を展開すること


もっとも、現実の市場はそう単純ではなく、顧客のニーズに沿った
製品を作れば売れるという話ではない。


個別の企業戦略ならばプロダクトアウトとマーケットインとの間で
絶妙なバランスを取らないとうまく機能しません


しかし、産業全体でコモディティ化が進んでいる場合には、大きな
流れとして、プロダクトアウトからマーケットインの方向へシフト
していきます



プロダクトアウトの時代には、流通や販売はあまり力を持ちません。

美容室で考えると、パーマのニーズが絶大だった時期なので、美容
室、つまり売り手が有利



マーケットインの時代になると、量販店やネット通販の影響力が大
きくなり、メーカーの論理が通用しなくなる。

美容室で考えると、パーマのニーズが消え、とくに売るモノが存在
しないので、接客重視となり営業力、販売力勝負となる



現状の日本では、大きな流れとしては、マーケットインなので利用
者のニーズに沿わない製品は売れにくくなっていきます。


美容室も当然同じ流れであって、徹底的にお客のニーズにフォーカ
スするか、高い付加価値を提供するかのどちらかだと思います



しかし、カット、ヘアカラー、パーマは既存の技術なので、高い付
加価値を提供するのは、不可能に近い
のです。

既存の技術でなければ、他がやっていなのだから、比較することも
できないので、それだけで高い付加価値を提供できる。

ですが、他がやっていないからというだけで高い付加価値を提供で
きるほど甘くありません。

まずは、徹底的にお客のニーズにフォーカスすることが大事で、そ
こからしかお客の求める技術を生み出すことはできません



そこで私が美容室に提案しているのが、「ニーズの掘り起こし」で



お客の悩み・希望を解決するには、お客自身ですら気づいていない
ニーズを掘り起こす必要があります



参考例をひとつ紹介すると、根本の立ち上がり(髪のボリュームア
ップ)
です。

しかし、これが通用したのも、約3年位前です。

今では、各美容メーカーがこぞってこれを解決する商品を販売して
います。

またしても、美容室は、ニーズを他に取られてしまいました



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