美容室の衛生管理以外にも見直すべき課題
美容室を新規に開設する際には、保健所に開設届を提出して、施設
の構造設備などについて検査を受け、認可を得ることが必要となり
ます。営業していく上で何よりも大事になるのが衛生管理です。血
液を媒体として感染するウイルスへの二次感染を防ぐため、理容師
法・美容師法により、皮膚に接する器具は客一人毎に消毒すること
が義務付けられています。
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このため構造設備基準でも、器具などの消毒設備があることは必須
です。
消毒には消毒薬を使用する方法、紫外線消毒器や蒸気消毒器を使用
する方法など消毒したい器具に応じていくつかの方法があります。
いずれも正しい方法で行わなければ効果はありません。
4月4日のエントリー「美容室の衛生管理を今一度見直してみる機
会」では、美容室開業に規定されている衛生面が疎かになっている
美容室の存在を指摘したものでした。
大手ヘアサロン「アッシュ」吉原会長も指摘と提言をしています。
ヘアサロンの在り方が変わる 「アッシュ」吉原会長が提言「美容
室は医療関連に次ぐ“第2フェーズ”である自覚を持つべき」
以下引用。
(前略)
WWD:美容室に休業要請を出すか否かで行政の判断は遅かった。
吉原:もたついていましたね。今も疑問に思うことは多いです。行
政は美容業を公衆衛生の業種に位置づけているのだから、行政が衛
生管理の指針を示すべきで、企業や個人に委ねるべきではないと思
っています。そもそも美容所における衛生管理の要領は、戦後に結
核などの伝染を防ぐために設けられたもので、ある意味今のような
状況を想定したものといえます。そのことを組合あたりが適切にア
ナウンスしてくれたら、もっとスムーズに営業のお墨付きをもらえ
たとも考えらますね。
WWD:要綱には消毒なども規定されている?
吉原:店舗面積や美容器具の消毒などが規定されています。しかし
伝染病がなくなるにつれ、次第に消毒の必要性の認識は薄れていき
ました。美容室にはファッションや技術といったクリエイティブな
側面と、その土台となる公衆衛生という2つの側面がある。近年は
ファッションの側面のみがフィーチャーされ、公衆衛生の側面が置
き去りにされてきました。批判するわけではありませんが、シャン
プーをしない専門サロンが登場したことはその一例だと思います。
髪はよく手で触るのでウイルスが付着しますが、シャンプーの界面
活性剤によって大半のウイルスは流れるんです。われわれは今一度
原点に立ち返り、美容室の在り方を変え、両側面のプロであること
を自覚する必要があります。
WWD:たしかに、衛生に関して美容学校では勉強するけれど、就
職すると技術の習得が優先になる傾向が否めない。
吉原:美容師は国家資格で、学科試験には衛生法に関する問題もあ
り、試験内容の3分の1程度は看護師の試験と同じなんです。その
レベルの国家試験を受けているということに立ち返らないといけな
い。今、看護師は命を懸けて新型コロナと闘い、社会的に称賛され
ています。そうした医療関連が第1フェーズだとすれば、美容室は
第2フェーズなんです。さすがに“命を懸けて”は大げさですが、
それでも感染していて症状のないお客さまが来店される可能性は十
分あります。でもわれわれには、髪をさっぱりさせて衛生的になっ
ていく気持ち良さ、きれいになっていく喜び、身だしなみを整えて
心機一転する機会をお客さまに提供する義務があります。実際、
“自粛が解除されてまず行きたい場所”に美容室を挙げる人も大勢
います。そうした思いに対して、衛生面で完璧なオペレーションで
応えることができれば、美容室の社会的地位が上がるターニングポ
イントにもなると思います。
WWD:使うたびにハサミやガウンを消毒するなど、完璧なオペレ
ーションにはコストもかかるが。
吉原:だからこそ美容室には適正価格があり、闇雲な安売りはでき
ないんです。公衆衛生に関する業種で営業するからには、公衆衛生
の面で責任を持たなくてはいけない。そのために保健所から営業許
可証をもらい、経営者が責任をとるようになっているんです。そこ
で1つ気がかりなのが業務委託サロンなどの形態では、1施設の中
で責任をとれるのは1人だけであるにも関わらず、技術者個人が何
人も集まって仕事をしているので、責任の所在があいまいな部分が
あると思います。個々のお店のスタッフ皆が一丸となって衛生面を
徹底させ、お客さまに安心してもらえるシステムを作ることが、今
は一番大切なのではないでしょうか。
以上引用。
これに対して私は以下のツイートをしました。
コロナ禍は、本来美容室が取り組むべき公衆衛生を見直す機会にはなった。だらしないお店が多いですから。
— arusara (@arusara_jp) May 15, 2020
RT @wwd_jp ヘアサロンの在り方が変わる 「アッシュ」吉原会長が提言「美容室は医療関連に次ぐ“第2フェーズ”である自覚を持つべき」 https://t.co/v2DKaky9Iv
『コロナ禍は、本来美容室が取り組むべき公衆衛生を見直す機会に
はなった。だらしないお店が多いですから。』
流石に記事中の『衛生面で完璧なオペレーションで応えることがで
きれば、美容室の社会的地位が上がるターニングポイントにもなる
と思います。』については、それは無いだろうと思いますが、逆に
いえば美容室「開業届け」が、いかに“形”だけのものになってい
たかがよく分かります。
コロナ禍以前の美容室を見て、公衆衛生にしっかりと取り組んでい
るという印象を持たれる方は殆どいなのではないでしょうか。
美容室だけの責任にするのもおかしな話であって、保健所も一度許
可した美容室のその後については、検査、管理が行き届いていなか
ったともいえます。
どこか一ヶ所が解決・改善すればいいだけの問題などあり得ず、美
容室に携わる全体の問題と捉えるべきでしょう。
現在進行形のコロナ禍ですから、国民意識としては過度ともいえる
衛生管理意識があると思いますが、これが非常事態ではなく、やは
り平時のときにこそ美容室の衛生管理については、しっかりと議論
してもらいたいものです。
何故なら、今議論してしまえば、冷静な判断が出来ないと思います。
と言いつつ、カット専門店にシャンプー台が無いことについては、
平時のときに理容組合が異議を唱えていたようですが、結果として
は、カット専門店は存在しています。
美容室にしても消費者の利用を最大化にしてしまうと、価格設定が
安くなることは当然の流れで、そうなるとスタッフの人件費、そし
て、衛生管理に掛かるコストを抑制せざるを得ない。
美容室に関わる全ての人間が良くなるように考えるべきなのです。
美容室を利用する消費者も喜び、美容室で働くスタッフも喜び(も
ちろんオーナーも)、取引業者も喜ぶ、というトリプルウィンの関
係を築いていく必要があると私は思います。
平時では、どうしても利益優先になりがちだったことが多少是正さ
れ、掛かるべきコスト、つまり衛生管理等にはコストをある程度掛
けるべきです。
美容技術の安売りは、消費者とオーナーが得をして、そこで働くス
タッフに利益が還元されないとなると、本末転倒です。
以上のように書いてきましたが、やはり私からすると、コロナ禍だ
から気づいたというのは一つもないのです。
むしろ、コロナ禍以前より課題として、ないがしろにされていたも
のばかりです。
まあ、何はともあれ美容業界が良くなればそれでいいです。
山口周さん「ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行
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