美容組合という中間組織


4月の緊急事態宣言が発令される直前に理美容室が休業要請の対象
になるかどうかで一時的にひと悶着がありました。結果的には対象
外。その後、休業要請対象となるところでは、支援金や給付金が支
給されることになりました。そんな中で愛知県は、理美容室は休業
要請対象外でしたが協力金を出すことを発表しました。

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愛知県が理美容室に協力金を出す際に最初は、出すところを組合加
盟店のみとしていましたが、その後全店舗に協力金を出すことに改
めました。

休業要請の出されていない理美容室でしたが、市町村単位では給付
金が各地で出されているようです。

もちろん、私が住む長崎市でも。



愛知県の理美容室に対する協力金支給の線引きの一つとして当初挙
げられた「組合」ですが、現状はどうなっているのでしょうか?


美容組合員数 4万8492人に

以下引用。


令和2年(2020年)4月時点での全美連組合員数が前年より1683人
(3.4%)減り、4万8492人になった。平成26年に6万人を割込み、
6年間で4万人台になったが、生衛16業種では最多。

組合員の減少が常態化している全美連だが、美容業界では最大の団
体であることには変わりない。また、衛生行政報告(2019年)比の
組織率は約20%で、全理連の38%に及ばない。

47組合のうち44組合で減少したが、奈良県(3人増)、徳島県(17
人増)、福岡県(24人増)の3県で微増した。とくに福岡県では組
合員の増加が継続している。(後略)


以上引用。


これに対して私は以下のツイートをしました。




美容室の増加に反比例して総売上だけでなく組合員数も減少傾向
 ですか。中間組織としての効力が発揮できなくなるが、それ以上
 にこれでは美容室全体に自己責任論が助長されますね
。』


ちなみに、長崎県の組合員数は667 前年比(-28)とのことです。


この美容組合に限らず、この組合という組織ですが、私自身は、と
くに調べることなく印象のみで懐疑的でした。

ところが、「組合」の成り立ちを知ると私の考えは一変しました


ということで以下をどうぞ。

レントシーカーと政治力

以下引用。


さて、日本では特定の「政治団体」について、既得権益だ何だと批
判をする人が多いですが、その方々は「民主制」について理解して
いません。

民主制とは、有権者の一票が政治や政策を決定する仕組みです。

とはいえ、日本の有権者数は1億人以上。我々は、日本の主権につ
いて、1億分の一のパワーしか持っていないのです。日本国民は、
わずか七千万分の一の政治力で、日本国の政治に影響を与えること
ができるのでしょうか。不可能です。

話は変わりますが、「共同組合」が生まれた理由をご存じでしょう
か。

人類史上、初めて成功した「協同組合」は、産業革命後のイギリス
で誕生した、ロッチデール先駆者共同組合です。

産業革命により工場における大量生産が主流となったイギリスでは、
製造業に携わる労働者が劣悪な雇用環境と貧困に喘いでいました。
さらに、労働者は日常的に購入する食料や衣類など、生活必需品の
品質の悪化や価格高騰に悩まされていたのです。

労働者側に、販売店の選択肢はほとんどなく、質が悪く割高な商品
であったとしても、購入せざるを得ない状況が続きました。とはい
え、労働者、消費者は「個人」として見た場合、パワーが小さすぎ、
どうにもなりません。

個別に見れば「小さな買い手」である労働者たちは、大手の小売業
者の巨大なセリングパワーに対し、個々人で対抗することはできな
かったのです。というわけで、個々では「小さな買い手」に過ぎな
い労働者を束ねることでバイイングパワーを増し、既存の大手小売
業者に対抗するための協同組合が誕生しました


1844年12月21日、ランカシャーのロッチデールに「個別の
労働者の購買力」を統合することで購買力を強化し、大手小売商に
対抗することを可能にする「生活協同組合」の店舗が開かれます。
協同組合運動の先駆的存在となった「ロッチデール先駆者協同組合」
の誕生です。

何を言いたいのかといえば、「民主制」や「国民主権」にしても、
個々人の(日本では)1億分の一の「主権」では、政治力を発揮し
ようがないというのが「現実」という話です


だからこそ、「国家」と「個人」の間に各種の中間組織があり、一
人一人ではちっぽけな各人の「主権」を束ね、政治力を発揮しよう
とするわけです
。労働組合、協同組合、企業、企業団体、業界団体
など、過去の日本では散々に批判をされてきましたが、この手の中
間組織がない場合、我々の主権は「最小化」されることになるので
すよ。

つまりは、農協にせよ経団連にせよ、あるいは連合にせよ医師会に
せよ、各種の「団体」が構成員の票を取りまとめ、政治を動かそう
とするのは民主制として「正統」なのです


むしろ、中間組織を排除し、個々人の票にのみ依存した民主制を実
現しようとした場合、選挙は確実に「人気投票化」してきます。そ
の先に待ち構えるのは、悪しきポピュリズム、あるいは全体主義以
外にはありません。(後略)


以上引用。


理美容室の休業要請が対象外になったのは、理美容業界にそれなり
の政治的パワーが存在したから
です。

つまり、中間組織である「組合」の存在。


たった一人の声ならば無視できるかもしれませんが、それ声の数が
大きくなればなるほど無視できなくなります。


美容組合に加入する“メリット・デメリット”ばかり目がいきがち
でしたが、中間組織として意見を主張する組織であるという事など
考えたこともありませんでした


あるとすれば、既得権益というレッテルを貼り批判することだけで
した。


美容組合員数の減少は、確かに自然の流れなのかもしれません。

それはつまり、美容室を開業しても、誰も守ってはくれないという
意味でもあります


自己責任というやつです。


コロナ禍でも蔓延している自己責任論ですが、確かにそうだと思い
ます。

でも、ホントにそれでいいのでしょうか?


コロナ禍で国に対して給付金や休業要請謹を要求する個人事業主や
経営者を「経営者ならば不測の事態に備えておくのが当然」「こう
いうときだけ国に頼むのはおかしい」「自己責任」「図々しい」と
いった批判する声がありました。

もちろん、至極“正論”です。


コロナ禍で何もしなければ、経済は崩壊し自殺者も増えることにな
るでしょう。

「でも、それは自己責任でしょ!」ってこれでいいんですかね?


緊急事態宣言が発令されても「営業継続」こそが生き残るには必要
な選択ということで、理美容組合が東京都と国の政治家に働きかけ
のだと思います


結果的には、「休業要請が出されておけばよかった」との声もあり
ましたが、それはそれです。


私も営業すら出来ない、つまり仕事が出来ないのにどうすれば生き
残れるのか?と途方に暮れていました。


理美容室が営業継続で良かった、と思ったものです。

美容組合という中間組織があったからこその事実でもあるわけです。


何も、だから組合に加盟すべきとは言いません。

ですが、その組合の成り立ちや意味合いぐらいを知った上で加盟す
るかどうかを決めてもいいのではないでしょうか






三橋貴明さん「自民党の消滅」





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