衰退する百貨店


日本で百貨店が誕生したのは、1904年のこと。三越呉服店が新聞広
告に「デパートメントストア宣言」を掲載したことがその始まりと
いわれ、その後も全国有名呉服店、大手私鉄がこぞって百貨店を開
業していった。個人商店はそれよりもっと前、それこそ江戸時代か
ら栄えていた。

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そんな百貨店や個人商店が戦後に急成長したのは、日本国内の消費
全体が急激に膨らんだことが要因だ。戦後、日本では人口が増え続
け、経済的にも豊かな中流家庭が増えた。お客さんの数、そしてお
客さんが持っているお金が増え、高度経済成長の時代へと突入する
のである。
(望月智之さん「2025年、人は「買い物」をしなくなる」より)






そして、百貨店の令和である現在の状況がこちら。


消えゆく百貨店 消えゆくカウンセリング化粧品売り場 全国25万
軒の美容室は受け皿になれるか


以下引用。


百貨店が消える日

そごう徳島が36年間の愛顧に感謝を込めて「報恩謝徳」のファイナ
ルセールを行っている。

同店が閉店する今月末、2020年8月31日は、徳島県から百貨店が消
える日だ。

今年1月には、江戸時代の荒物屋をルーツとする老舗百貨店・大沼
が経営破綻し、山形県から百貨店が無くなった。これで、百貨店ゼ
ロの県は2県となる。

日本百貨店協会の店舗所在地リストを見ると、百貨店が1店舗しか
ない県も多く、茨城、新潟、山梨、岐阜、富山、和歌山、福井、島
根、香川、高知、佐賀、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄の15県に上る。

47都道府県の実に3分の1において、百貨店がゼロまたは1つしか
ないという、一昔前には想像もしなかった状況にある。


求められる「カウンセリング化粧品」売り場

百貨店だけではない。商店街はシャッター街となり、化粧品専門店
が急速に数を減らしている。

化粧品は、ドラッグストアなどの店頭で自分で選ぶ「セルフ化粧品」
と百貨店や専門店で相談する「カウンセリング化粧品」の二つに大
別されるが、このままでは〝いいものを相談して買える〟場所であ
るカウンセリング化粧品の売り場が無くなっていく。

全国各地に約25万軒の美容室、約12万軒の理容室がその受け皿とし
て求められている。


以上引用。


コロナ禍の影響で百貨店の売上は減少しました。

もちろんコロナ禍の影響なのですが、商品の品揃えで勝負してきた
百貨店がAmazonに勝てるわけがなく、売上は以前から減少傾向であ
り、売上はインバウンド頼りになっていました。

インターネットとスマホの普及により、百貨店はAmazonが競合にな
るので、商品を商品として売る以上は、勝ち目はありません



テクノロジーの進歩により「わざわざ行く価値の店舗」が生き残る
ことは分かっていたことで、コロナ禍がより一層百貨店の脆弱性を
顕在化してくれました



記事にある「カウンセリング化粧品売り場」にしても、7月21日の
エントリー「あらゆる企業がサービス業になる!?」でも紹介しま
したが、資生堂はECサイト「ワタシプラス」で化粧品の試着サー
ビスのようなものを展開しています。


ですから、以前からの百貨店でしか体験出来なかったコトがネット
上で体験できる時代なのです。

それをあえて理美容室で体験しようとする人が果たしてどれほどい
るのでしょうか?


便利なサービスがネット上に提供されているのに、理美容室が「カ
ウンセリング化粧品売り場」の受け皿になることはありえないので
はないかと思うのです。


自分の好きな時間に利用できて、しかも値段も安く、買った商品が
自宅に届くとなれば、百貨店にわざわざ行く必要がなくなります。

しかも、人とのコミュニケーションで成り立つような「カウンセリ
ング化粧品売り場」ですらも、人によってはコミュニケーションの
煩わしさから解放されるので、ネットで事足りるわけです。


「わざわざ行く価値のある店舗」になるためのキーワードとして、
体験・感動」を頻繁に聞くようになりました



アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスは以下のようにいっています

わが社よりも5%安く売るところが出てきても、何の心配もいら
 ない。私が気にしているのは、わが社よりも優れた経験を提供す
 る企業が現れることである



かつては、「休日に百貨店に出かける」ということが、家族にとっ
ての「レジャー体験」でもあった
のです。

もはや「レジャー体験」は、百貨店のものだけではありません。





山本康正さん「次のテクノロジーで世界はどう変わるのか」




山口周さん「ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行
動様式」





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