言葉使いと話の中身は必ずしも一致しない
世の中はコロナ禍だというのに、私に限っていうと今年になってから仕事での行動範囲が広がりました。基本は長崎市で仕事をやっているのですが、福岡、熊本、岡山、広島等に出張する機会が増えました。各地で仕事(営業)の中身がとくに変わることはありませんが、初めて対面する人も多く、相手の話す内容というよりも話し方や方言に戸惑うこともありました。
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方言の意味がわからないことだったり、口調をどのように捉えていいのかをその場その場で機転を利かせて自分なりに対応していました。
殆どが初対面の方ばかりだったので、緊張もするし、どういう性格かもわからない。
その人の話す雰囲気(表情・身振り・手振り)やら話し方やら口調やらを自分なりに即座に分析して探り探りの中で営業をやっていきました。
長崎市という相対的に狭い土地で仕事をしており、しかも既存客が中心の営業ばかりをやっていたならば、多分、今回のように他県に出向き初対面の方との営業は出来なかったと思います。
しかも、その殆どがお膳立てのようなものがあるわけではなく、事前に知り得る情報を基にして、想像力を働かせ、相手の心の状態を丁寧に想像して相手の心に届くように使う言葉も選んでいきました。
新規飛び込みセールスは、事前にどれだけロープレをやったりしても、相手の出方によっては、こちらの出方を瞬間で変えなければなりません。
まさに出たとこ勝負。
数年前から意図的に新規飛び込みセールスに取り組んでいたこと、美容室での勉強会に取り組んでいたことが結果的には功を奏したように自分にはその意味を見いだせたように思います。
ひょっとすると、このブログで日課のごとく言葉、文章を書いていったことが役立ったこともあるのかもしれませんね。
今回は、新規客ではありませんでしたが、既存客で状況的には、クレーム処理としての営業が多く、基本的に相手がウエルカムではない。
繰り返しになりますが、しかも慣れない土地と方言の連続。
そんな中でもコツコツと足を運び、少しずつ相手もこちらの話を聞いてくれるようになっていきました。
何度も書いて申し訳ありませんが、口調やら方言やら話し方、表情、クセも分からず、とにかく私が意識したのは「相手が言葉以上に伝えたいはずの意味・意図」をいかに汲み取ることできるか、でした。
営業という仕事は、言葉を使って相手を説得、納得させるもの。
ですから、言葉を相手に、いかに伝えるか、いかに伝わるか、なのですが、伝えることにばかりとらわれてしまうと、自分の話に悪い意味で夢中になってしまい、営業マンアルアルである「喋り過ぎ」となってしまいます。
営業で大切な事は、「相手の心をいかに汲み取るか」なのです。
心を汲み取らず一方的に話をしてしまっては元も子もありません。
心を汲み取る際に障害となるものもまた、言葉なのです。
そして、言葉でも言葉使い、口調、話し方に惑わされてしまい、相手が本当は何を伝えたいのかが見えなくなってしまうのです。
言葉にすることが出来ない心(感情)の部分を汲み取ってこそ、相手の心に届くような言葉を伝えられると思うのです。
老子という人物をご存知でしょうか。
老子とは春秋時代(B.C.770~B.C.403)の思想家で、道教の始祖です。
この方の言葉に、『「はい」という返事と、「うん」という返事のどこが違うのか』というものがあります。
つまり、「言葉使いと話の中身は必ずしも一致しない」という意味です。
話し下手でも価値のある話を真剣に語る人もいれば、言葉巧みでもその中身は空っぽという人もいる。
しかしながら、普通は中身と形を同じに見なすことが多い。
言葉使いが丁寧だと、話しの内面も礼儀正しいと考えるし、口下手だと話の中身も貧弱だろう思い込むものです。
となると、言葉の形式や礼儀にこだわると、お互いに気分を害したり、腹が立ったりすることも多くなります。
だからこそ、老子は、「はい」と「うん」という返事のどこが違うのか、と問うているのではないか。
流石に私が相手をした方々は、いい大人なので「うん」などを使う人はいませんでしたが、それでも方言、話し方、口調にはそれぞれの特徴がありました。
度が過ぎる礼儀作法は、相手を息苦しくさせますが、無さすぎるのは相手の気分を害することになる。
ちょうどいい感じの礼儀作法で、親しみの持てるような雰囲気と言葉使いと話し方と口調を心がけて、私は営業を行いました。
そして何よりも、相手の心を汲み取ることに全力を注ぎました。
結果的に、「あなたと話せてよかった」「話が分かる人でよかった」という言葉を引き出せることができました。
紹介した老子の言葉はこちらで読むことが出来ます。
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