技術における見極めの難しさ


今年の1月25日のエントリー「時代の変化に振り回されないためにも」において、美容室におけるヘアカラーは、頭皮が染みる、カブレるといったトラブルが常につきまとい、そのリスクを減らす努力を怠るようなことはあってはならない、というような主旨を書きました。リスクを減らすとは、お客に対する説明責任であったり、技術の向上のみならず、毛髪科学、化学薬品の理解に努めることを指します。

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とは言え、それでもトラブルは起こってしまうのが現実であり、実際には、表面化していないトラブルなど無数にあるとは思うのですが、たまに表面化することもあります。

ということで。

「パーマ失敗、チリチリで結婚式台なし」 490万円賠償、美容院に勝訴できるものなのか

パーマが失敗して、結婚式が台なしになったとして、高松市内の女性が美容院を相手取って総額約490万円の損害賠償を求める訴訟を起こしたと報じられた。

美容院の経営者は謝罪しているようだが、女性は「一生に一度の晴れ舞台を楽しみにしていたのに」と許せないようだ。ネット上では、訴えることの是非も含めて、関心を集めている。(後略)


以上引用。


この記事に対して私は以下のツイートをしました。





私が驚いたのが、『1月にデジタルパーマをかけて、5月にストレートパーマをかけて、7月にストレートパーマをかけた』という美容室の対応です


裁判云々はよく分かりませんが、この施術対応を見て、多くの美容師さんはどうのように思うのでしょうか?もちろん感情論は抜きでです。

技術面だけを考えると、何故やろうとしたのかという”根拠”を知りたいものです。

パーマをかける上でパーマ液の存在は外せません。パーマ液(一液)とは、非常に雑な言い方をすれば硫酸の一種ですから、頻繁に毛髪に使用すればチリチリになって当然。

「最近のパーマ液は良くなって、毛髪に対するダメージは殆どありません」、などと言って美容ディーラーの営業マンがセールスをかけるでしょうが、もちろんそんなこと(ダメージがない)はありません。


化学薬品を使用するということは、そのリスクもきちんと理解しなければならない

パーマであれば、パーマ液を使用すると毛髪の形状を変化させることは可能ですが、毛髪のダメージ云々はまた別の問題です。

毛髪を傷ませないパーマ液など存在しませんが、極力傷ませないように技術でコントロールすることはいくらでも可能です

しかも、毛髪の状態によって事前予測も可能


技術自体は練習すれば誰にでも出来ることです。

しかし、毛髪に対してお客の要望する技術が可能かどうかを判断する、見極めるというのは、技術そのものが出来るとはまた別次元の話です。


パーマのニーズが減少した昨今ではあまり美容室からも聞かなくなりましたが、1990年代には「パーマのかけ直し」が一種のニーズでもありました。

パーマを失敗させないことがベストなのですが、失敗してからのリカバリーの在り方が問われた時期でもありました。

結局は、その在り方を見直すことなく続けてしまった結果が今のパーマ離れにつながっているのではないでしょうか。


それはそうと、この美容室の施術対応での最大の失敗は、毛髪の見極めではないかと思います。それは、出来ないもの出来るものの見極めでもあります。


どれだけお客からの強い要望であったとしても現実的に毛髪の状態から判断して出来ない技術ならばやってはいけません

そして、その理由をしっかりと相手に言葉で伝えなければなりません


ひょっとすると「お客が望んだことなので」「リスクも説明した」のかもしれません。

しかし、実際に起こってしまうと、記事にあるような対応をお客からされてしまうもの。

軽はずみな行動をこの美容室がとったとは思いませんが、それでも裁判沙汰に発展するようなことが起こってしまうのが現実です。


ツイートしたように、私からするとこの美容室が美容所賠償責任補償制度に加入していたかどうかが気になってたまりません。





グレッグ・マキューン「エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする」





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